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インターネットを使うだけの消費者と、インターネットで稼ぐ人の違い

  • 25 October 2016
  • のぶやん

人間の一般的な生活というのは、労働を行う事によって金銭を得て、その金銭で物を買うなど消費活動を行う事によって成立しています。しかし、最近の労働形態というものが変化してきており、消費と労働の垣根が非常に曖昧になってきています。例えば、ゲームのプレイヤーが無料で遊ぶという行為は、『ゲーム会社の為に無償労働を行っている』と解釈する事も出来る訳です。

オンラインゲームでは、いかに時間・お金をかけたかを競わせる事によって、『凄いね』とゲーム内部のユーザーに言わせる『認証欲求』が働くように作られています。基本的には、現実社会のブラック企業と何も変わる所はないわけです。ブラック企業の場合にも、上から圧力をかけて『お前はその程度か』と言わせて、無給・無休でどんどん働かせる事を目的としています。

消費の拡大による労働価値の低下

先進国において労働価値が低下しているのは、確かに『労働生産性が上がった』という事も出来ますが、労働者が必要ではなくなって、消費者を労働者にする動きが広まったという事でもあります。分かりやすい例をあげると、『ビュッフェ形式』というものがあります。レストランなどでウェイターに運ばせず、自分で運ぶのですが、これが『自分の労働』として換算されます。自分でご飯を運ぶことは、別に悪い事ではないのですが、食事中に席を立つという事で、落ち着いて食事するには程遠いという状況になるでしょう。

任天堂のゲームのように『オフラインゲーム』の目的は、『ゲームを売る』と言う事にあり、製造業の上で交換できるソフトがあるという状況でした。これがスマートフォンのゲームになってくると、アプリソフトすら無料になって、その上で遊んでいるうちに課金のコインが必要となる一段階進んだモデルになっています。こうなってくると、無料のオンラインゲームで遊ぶという行為は、『遊ぶ』という労働に換算する事ができます。それはゲームの中で秩序の取れた遊びであり、ゲーム会社のみが利益を出せます。

遊んでいればお金になる次元

Youtubeで広告が掲載されて収入になっているという人を聞くと、『好きな事でお金を得られて羨ましい』と感じる人がいるかもしれません。それと同じ事はゲーム業界でも起ころうとしています。誰かにゲーム上でお金を支払って貰う事によって、自分のお金が得られるという方法です。それは、『セカンドライフ』という形で2007年頃に日本でもメディアが取り上げられましたが、実際にはゲームが重いなどの理由でそれほど流行しませんでした。

部屋に居ながら世界と繋がるということは、オンラインで『労働』を行っている事と同意義になり、労働といものが体を酷使するものではないという事が良く分かります。実際の『オンライン労働』がどれぐらいであるかは、算出されていないので、経済学として分かりません。

物理的に物を保有する事の非効率

電子化が進んだ世の中においては、物理的に物を所有する事は、全く無意味な世界になってくるかもしれません。何故ならば、『3Dプリンター』が発達していくと、設計図さえあれば、誰でもコンピューターに設計図を入力すると、簡単なものであれば、自分で製造できてしまうからです。100円ショップに行かないで、近くの『何でもショップ』にカタログを持っていけば作ってくれるというような状況が発生する可能性があるという事です。

特に物を保有する必要がないというのは、『お金』であったり、『データー』などを持っていれば、それをいつでも『物』であったり、『労働力』に変化させることができるという事でもあります。

労働力を買えない場合は自分が労働者

自分が経済主体として持ち合わせたお金を支払って、他の人からサービスを受ける中で経済は回ります。他人の労働力を買うほどの余力を持ち合わせていない場合には、ビュッフェサービスのように自分が働くしかありません。かつては、お金というものは、保有できる量に限界点が存在していて、お米を長期に保存する事はできませんでした。貨幣経済が発展していくと、お金を蓄えたり、借り入れたりする事ができるようになりました。手元にお金がなくても、『自分の労働力』を担保にしてお金を借り入れる事もできるようになりました。

巨大化したプラットフォームというのは、アップル、グーグル社などは、国家並みの予算を持っており、国家よりも国民の監視などなく自由にお金を使う事ができます。今では、権力を持つのは国家のように見えて、実は『財閥化した企業』となっています。国家の株主は国民ですが、財閥企業の株主は国民ではないので、財閥企業が株主の事を考えて行動する事はありません。

デジタル化できないとオワコン化

大学の講義などは、本来は全て動画になって、優秀な講師が1人いれば1年の授業は十分に足りるのです。簡単に言ってしまえば、全国の数万人の非正規雇用である授業のみを受け持っている講師は、『話題になるほど凄い授業』をしない限りは、ビデオ講師にその地位を代替されてしまうのです。

英語を上達したければ、高額の英語教室に通うよりは、自宅で英語アプリをやっていた方が上達が早い事は確実でしょう。英語教室に行くには、交通費のコストもかかりますし、1時間2000円という高額の受講料を支払わなくてはいけません。それに比べて、アプリならば、1ヶ月1000円払えば有料のアプリで学習する事ができます。

ビットコインの『採掘』現場

鉱山で金を採掘するとなると、過酷な労働環境と辛い重労働というものでしたが、今のビットコインの採掘現場というのは、コンピューターが無数に並べられているだけです。そこで行われている採掘とは、A→Bという『未承認取引』というものを探し出して、それを承認するという作業になります。詳しくはここにも書いてありますが、発掘競争というものが行われているという事です。

世界中でパソコンが大量に使われてビットコインの発掘が行われていて、その仕組み自体というのは、かなり安全であるとされています。開発者の1人は、中国が70%ものビットコインを集めている事に対して『失敗だった』と述べています。しかし、中国がビットコインの発掘作業の7割を行っている事が『不正常な状態である』と決めつけるのは早いです。何故なら、現実に工場などの多くが中国に立地しており、中国が『世界の工場』と言われるまでになっていて、オンラインでの発掘作業というのを中国がほとんど引き受けていてもおかしくないからです。

そもそも、『発掘作業』というものは、安全性を確保するためにデーターを取引台帳に記録する作業の事であり、その報酬として支払われるのがビットコインです。この発掘作業には、コンピューターを貸し出して、その作業に従事しなければいけません。取引台帳の更新作業が日々行われて、これによって通貨の安全性が保たれる仕組みになっています。

電気代だけで赤字になるビットコインの発掘

ビットコインの発掘には手間がかかりますが、個人の規模でやった場合であったり、世界一電気代が高い日本で発掘を行った場合には、電気代を支払うと赤字になってしまうという事です。1台のパソコンであれば、1ヶ月500円~3000円ぐらいが相場になっているので、複数台を稼働させる場合には、確かに電気代がかなりの金額になる事は間違いなさそうです。

ビットコインの発掘で何が行われているかを良く考えると分かるのですが、行われているのは『コンピューターによる消費活動から生み出す投資活動』と言える訳です。コンピューターは無料で動かせる訳ではなくて、ハードを作る作業が必要で、動かす為に電気代も必要で、更に監視する僅かな人件費も必要になるかもしれないのです。実は、これが『ビットコインの発掘』と呼べる実態です。ビットコインの発掘というのは、誰かの消費活動によって支えられると考える事ができます。

ビットコインは、金塊・石油のように有限なものであるとして、既に総量と発行期限が決められているのです。採掘する度に採掘者にお金を支払っていくのですが、それがどんどん半減して、最後になくなってしまって支払えなくなった時が枯渇にあたります。

総発行量:2,100万BTC
発行期限:2140年頃

これに対して、既に発掘済みの割合が75.95%に達しているのです。ビットコインは、最小単位が、0.00000001 ビットコインとなっていて、提唱者の名前をとって「1 satoshi」といわれる最小単位が設定されています。6,929,999番目のブロックで得られるビットコインが1 satoshi 以下になってしまうという事で、6,929,999番目のブロックで『枯渇した』という事になるというのです。1ブロック毎に50コインからはじめて、210,000ブロックごとに得られるビットコインを半減させる。そして、6,929,999番目のブロックが、報酬がビットコインの最小単位0.00000001 (1 satoshi)を上回る最後のブロックという事です。

2016年10月26日現在におけるビットコイン

ブロック数     435,974ブロック目
発行枚数     約15,948,450BTC
採掘済み割合     約75.95%
市場規模     約11,132億円
Difficulty     約2536.18億
Nethash     約16.52億GH/s

インターネットコンテンツとの違い

インターネットのコンテンツとビットコインの仕組みというのは、多くの人が参加してコンピューターで膨大な作業を行っているという点で類似しています。しかし、ビットコインの採掘を『世界中の誰か』が行っているのに対して、コンテンツの採掘というものは『Google社がほぼ独占』している状況です。Google社は自社のパソコンを使ってコンテンツの大量収集を行ってデータベースに書き込んでいますが、これはビットコインの採掘と似ています。コンテンツというのは、誰かと誰かのコミュニケーションであり、取引であると解釈する事ができます。

コンテンツというものは、実は誰か所有者が決まっていて、それを公開(発掘)するのに労力がかかっています。そして、そのコンテンツの価値というものは、世界全体が決めてコンテンツによって公開した人(発掘者)が収入を得ることができます。世界の人口が決まっている状況において、コンテンツ量が増えていくと、公開したコンテンツの閲覧者が減少して発掘したコンテンツの価値が相対的に低下する事になるので、新しいコンテンツをどんどん公開(発掘)していく必要性が出てきます。こうなるとサーバーを大型化しなければ追いついていかないという事になります。

中国・過酷では、オンラインゲームにはまりこんで、食事もとらずに3日間ほどずっとオンラインゲームに没頭した結果、死亡するという事件も起こっています。極度の緊張状態で長時間続けていると過労・ストレスになり、死亡事故に繋がるという事ですが、世界中でオンラインゲームに興じる人は増えています。仮想空間に興じる人が多ければ多いほど、仮想空間で自由度が高いビットコインの取引量が増加する事になります。オンラインゲームでプレーするというのは、間接的に『ビットコインの消費と発掘』の労働に関与している事になるでしょう。

ビットコインを人々が使う背景

ビットコインというものを人々が使い始める要因というのは、1つではないでしょう。最も可能性が高いのは、オンラインゲームなどで使う通貨が自国通貨であると、海外のプレーヤーにとって為替通貨の手数料負担が非常に大きいという事があるでしょう。その他にも、ゲーム内の通貨を実際のお金に換金したいときには、今まで自由に換金する事が難しかったのですが、このビットコインを使えば手数料が低い状態で交換する事が可能になる可能性があります。

その他にも、オンラインで通貨を扱う時に決済手段があまりに煩雑であるなどして開発コストがセキュリティで高くなりすぎたりするなど、ビットコインが利用された方が良い場面というものが沢山あります。中国人などの場合には、人民元を信用しておらず、ビットコインにも投資的な需要があります。

発掘にカネがかかりすぎて赤字

ツィッター社が赤字に苦しんでいるとされるのは、発掘にカネがかかりすぎているからであり、流通するコンテンツ量が一定であってユーザーが伸びない状況においては、取引されない無価値な情報だけが蓄積されていく事になり、簡単に赤字になってしまう事になります。Youtubeは同じ原因で赤字になってしまっていますが、こちらはユーザー数、視聴者数ともに伸び続けています。

ツィッターのつぶやきは、本来であれば無料でつぶやいて、シェアされているはずなので、コストはゼロで発掘されているはずのコンテンツなのですが、『もともと文字数が少なくて持っている価値が薄い』と判断されるためか、マネタイズに失敗して赤字になっています。ツィッター社の時価総額は、2016年10月時点において110億ドル(約1兆1000億円)となっており、身売りされるのではないかとも噂されています。

2016年のTwitterの月間アクティブユーザーはこの1年で500万人減って、現在3億1300万人。対するWeiboはこの1年で7000万人増やして、現在2億8200万人という事で、ツィッターとWeiboの時価総額は2016年10月に肩を並べました。ちなみに2014年にツィッターがIPO(新規上場株式)した時にWeiboの時価総額は34億ドル(約3500億円)で、Twitterは268億ドル(約2.7兆円)と8倍近い開きがあったはずなのですが、今では企業価値が同じになってしまいました。

ビットコインに半減期が設定されていますが、現実社会においても、ツィッターのアカウントのフォロワーが初期に1000人いるのと、現在の時点で1000人いるのでは価値が異なっていきます。初期の1000人は、恐らくは関与の高い1000人だったかもしれませんが、現在のフォロワー1000人というのは、『見てるかどうか分からないフォロワー』という事になります。ニコニコ動画に関しても、最初のうちは動画サービスが珍しくて多くの人がアクセスしていましたが、動画サイトが乱立すると、2016年にスポンサー企業が昨年の19社から4社になるなど、激減が見られています。

ビットコインの場合には、周期があって定期的に価値が落ちていくように設定されていますが、現実社会ではそうではなくて、政治的な要素を絡めたりしていくので、『突然に価格が暴落する』ような事が起きたりします。そういった事を起こさないためには、出来る限り人間が関与する事をやめて、コンピューター制御にしてしまった方が良いのです。例えば、ヘッジファンドに大化けを狙って投資したけど、実態はリスクをとっただけで、インデックスのファンドより収益が悪かったという事も良くあるのです。黙ってインデックスのファンドに投資していればよかったと。

見えない資産(Invisible Asset)

オンラインゲームにいくら熱中したところで、実際の生活に役立つことはないのですが、オンライゲームに熱中する人は後を絶ちません。オンラインゲームは、当たらなければ全く価値を持たないですが、大当たりするとガンホー・オンラインの時価総額が1兆5000億円で任天堂を超えたように『Invisible Asset』なのに、日本人1人が1万円の出資を行っているぐらいの超大型の企業体になったりします。

このガンホー・オンラインの評価額というのは、大企業と言われる時価総額3000億円ほどの企業の何倍もある金額であり、いかに市場でオンラインゲームの評価が高いものであり、収益が得られるものであるかを物語っているでしょう。しかし、人間の人口・遊べる時間と言うものが有限であるので、この資産価値が続く為には、ガンホーが1つのゲームに依存せずに別のゲームを開発したり、別の市場を吸収してどんどん大型化していく必要があります。

人間の感情というものは、目に見えないものですが、それは人間の多くのものを占めています。例えば、恋愛感情などで、人間は傷ついたり、病気になったりする事もあります。そうした事を考えると、見えるものよりも、見えない事の方がむしろ重要であるという事が良く分かります。

見えない資産が搾取されやすい

見えない資産というのは、見える資産に比べて搾取されやすい特徴があります。例えば、銀行口座が1億円の人が5000万円に減少しても、生活に困らなければ実感しづらいかもしれません。同じように『年金を貰える制度』といのは、年金基金に対する将来的ン貰える債権なわけですけど、それが削られたとしても、目の前の生活で困る事はありません。数字が動くだけでは、人は実感を得づらいので、その分だけ鈍感になってしまう可能性があるという事です。

政府における信頼・会社に対する信頼なども実は重要な資産なのですが、こうしたものが失われている事に当人たちは鈍感になりがちです。

オンライン化していく書籍

書籍というものは、それ自体は単なる紙なのですが、中身に良い事が書いてあったり、面白かったりするとベストセラーで100万冊売れたりします。その証明として、『電子書籍』たるものは、電子化されているので紙の価格がゼロなのですが、紙で販売される書籍とほとんど価格が同じでも買い手があります。中身が良ければ、何に書き込んであるかという事を気にしないという事でもあります。
 

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大学の教員にまで求められる『お金を生み出すビジネスモデル』

  • 1 February 2016
  • のぶやん

簡単な仕事を的確にこなす人がほしい

最近になって、ほとんどの仕事というのは、それほど学歴が必要ない場合がほとんどです。派遣社員で十分にこなせるような『アシスタント業務』などというのは、ほとんどが正社員ではなくて派遣社員に置き換わっています。アシスタント業務に当たる簡単な業務というのは、ほとんど派遣社員になっています。会社によっては、チームリーダーのみが正社員で、派遣社員3名、アルバイト5名で回すようなスタイルも多くなってきています。つまり、正社員1名枠にはいる人を求めるわけですけど、そこに高学歴の人は特に必要ないというのも理解できます。

例えば、カメラマンに学歴が必要かと言えば、カメラの操作に慣れていた方が良くて、パソコンソフトを使えた方が良いということは事実ですが、要求されるのはそれぐらいのものでしょう。給与は安いながらも、実務経験があれば、カメラマンとして採用される事があるでしょう。1〜3年ほどの実務経験があれば、カメラマンなんて毎日カメラを回すだけだから、言ってしまえば『誰にでもできそうな仕事』であることは事実です。ただ、正社員で採用されているのは、『責任感』というものが大事になるからでしょうね、責任を持って最初から最後までやり切るというパワーは、アルバイトではなくて正社員でないと困ります。

派遣社員で業務スキルを高める

会社の中で派遣社員になって業務スキルを高める事は可能ではあります。今まで正社員などが行ってきた業務自体を派遣社員が行うという事は、企業の中で派遣社員が様々なスキルを学ぶ機会があるかもしれません。少なくとも、1〜3ヶ月ぐらい企業の中で新しいことを学ぶ事が出来るでしょう。そして、半年ぐらいして1つの技術を身につけたなら、その会社に用はなくなったということでやめてもよいでしょう。会社側からすると迷惑な話かもしれませんが、派遣切りと言って会社が派遣された人材を切り捨てることを考えれば、こちらから辞める方が良いのです。

自分が行きたい会社に派遣されてスキルを身につけたなら、そのスキルを使って事業を行うのも良いでしょう。ITの会社に行ったらITのスキルを活用しながら事業を行うのも良いでしょうし、カメラを扱う会社に入ってカメラのスキルを用いるのも良いでしょう。早めにフリーランス・個人事業主として独立して、誰かに雇われるスタイルを脱却する事が大切になります。

映画監督という職業はどうなのか

映画監督という職業を考えると、研究者が映画監督になるという例もないわけではないですね。例えば、原発の映画を作った小熊英二さんとかは、学者で教授をやっていながら、映画監督もやっています。ぶっちゃけ、今の私立大学の先生は、過去の実績よりも『学生が集められる知名度』の方が求められているのではないかと思わなくもないですね。メディアなどに取り上げられて知名度があがれば、それだけで様々な学校から『お呼び』がかかるし、講演会などにひっぱりだこになるのは、それだけで学者として名誉ある事ですから。

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最低賃金を上げないと良いサービスが作れない

  • 23 December 2015
  • のぶやん

最近、コンビニであったり、ファミリーレストランに入っても、店員のやる気のなさというのがはっきりと表れている事が目につきます。言われた事をやっていればいいという事で、挨拶やらをしっかりしたりする事はするのですが、細かいところにやる気のなさが出てしまっているのです。アルバイトの間には、「アルバイトをしても、技能が身に付かない」という事が分かっているので、異常なまでにやる気がなくて、時間が過ぎるのを待っているという感じが見え隠れしてしまっているのです。

現状に対する諦めの蔓延

最低賃金が800円で1日8時間20日働いたとしても、12万8000円しか得ることができません。無理して1日10時間働いたとしても、16万円にしかできません。12-16万円という収入では、年収200万円を割り込んでくるので、生活するのに本当にギリギリの金額であり、とても余裕がある生活などできそうもありません。そうしたフリーターが、今では日本で数百万人にもなり、深刻な事に「中年フリーター」と呼ばれる35-54歳のフリーターも、270万人に及ぶという事です。

民間給与統計(国税庁2006)によれば、年収200万円以下の人が1000万人(23%)を超え、年収300万円以下だと全労働者の38.8%に当たるという事で、非常に深刻な事態になろうとしています。多くのフリーター・非正規労働者は、その日暮らしのような貧しい生活となっています。

貧乏であるからこそ暇がない

貧乏であればあるほど、低賃金労働者として長時間働かないといけないので、暇がないという悲惨な状況に陥ってしまいます。忙しく働いていないと安心できないので、忙しく働いたりしても、生活の水準が全く向上せずに将来が見えない状況になっている人が沢山いるのです。何らかの打開策を探そうとしても、とにかく時間がなく働いているので、何もできない状況に陥っているのです。

貧しい人にとって選択肢というのは決して多くはありません。一生懸命になって働いたところで生活の質を改善させる事が全く期待できない賃金ですし、働かないと生活できないという大変な状況に陥っています。所得が労働にのみ依存する状況で、賃金が低下するという事は、生活の質が上がる見込みがないという大変な状況に陥ってしまう事を意味しています。

貧困を打開していくのにどうするか

本来であれば、貧乏を打開する方法として、「正社員になって給与を上げる」という方法と「自営業者になって自分の道を開拓する」という選択肢がありますが、多くは正社員を望むのに対して正社員のポストが限定されていますし、自営業者になるという事も、時間がなくてお金もない低賃金労働者からすると簡単な事ではありません。つまり、打開策がなにもないままに時間をすごしてしまう人が大半なのです。

アルバイトをしながら副業として自営業を少しずつ始めて・・・という余裕があればそういった事も可能なのかもしれませんが、それには親が一定の期間は生活支援するなど、生活の支援が欠かせないでしょう。自営業者というのは、簡単に稼げるものではなくて、専業でしばらくやらないと、まともに稼げるようにはなりません。自営業として独立しようとする人は多いですが、完全に稼げる前に諦める人も多いという事実もあります。

ワーキングプアが企業を崩壊させる

日本における働いても豊かになれない「ワーキングプア」というのは、若者が特に多くて、更に中高年にも広がりを見せています。ワーキングプアの能力を最大限に発揮できないという事は、日本企業の競争力が全くなくなっていく事を意味しています。企業の中で正社員を減少させて、ワーキングプアのような奴隷層を増やしていくと、同じレベルのサービスを維持する事が厳しくなってしまうからです。例えば、ファストフード店などでは、理論上ではうまく動くはずなのに、現場におけるサービスの質が低下したりするなど、顧客に対するサービスが大幅に落ちてしまうのです。それを防ぐ為にスタバなどでは、契約社員を正社員化したぐらいです。

現場でトラブルが起こって顧客離れを招いたところには、すき家などがあります。すき家のアルバイトなどは、ほとんどやる気がなくて不衛生です。アルバイトの数も足りておらず、皿が現れずに放置された様子がインターネットの写真などで公開されて炎上しました。実際に顧客に触れる最も大事な現場において、アルバイトが1人で仕事を任されたりしても、時給900円で良い仕事ができるはずがないのです。こういったビジネスモデル自体が既に破綻していて、最前線に出るスタッフの賃金を高くしたり、保証を厚くしたりする必要性が出てきています。

こういった現場でのトラブルというのは、企業の正社員にも起こっている事です。賃金をジワジワカットして社員の福利厚生もカットすると、管理側が厳格に管理していると思いこんでも、社員がやる気がなくなっていきます。社員のやる気がサービスの質に直結して、顧客の満足度を大幅に下げる事になってしまいます。

賃金労働者というのは、やる気がない

そもそも、資本を何ら保有していない賃金労働者に対して、資本を保有している経営者と同じだけの「やる気」を求めるのは、絶対に無理があります。働いても、働いても暮らしが豊かになれないというのは、資本主義国家というよりは、社会主義国家に似ています。労働を行ったとしても最低限の暮らししかできないのであれば、その労働の実態は、社会主義国における「配給制度」と似たような状態であると言えるでしょう。

貧しい生活で現状を変化させられない

自分が何か学びたい事があったとしても、旅行に行きたかったとしても、貧しい生活の状況では、何もすることができません。時給が900円~1200円ぐらいの低い賃金であれば、長時間の労働を行わなければ、満足のいく給与を得ることができません。ある程度の収入(月に手取りで20万円以上)ぐらいはないと、本当に何もできない(旅行すら行くのが難しい)生活になってしまいます。子育てするのであれば、月額25-30万円が最低ラインです。日本では、子育てに国の援助が薄いので、子育てに凄くカネがかかります。

貧しい生活だと、遊びに行く事もできないので、恋人どころか友達と遊びに行くのも躊躇するようになってしまいます。私の友人などでフリーターの人などは、「お台場に遊びに行くのに交通費がかかるから」という事で、お台場に行ったことがないという事で驚いた事があります。交通費を考えて生活するようになっていたら、本当に余裕がないんだろうなと思います。

貧しい生活で健康を損なう可能性

日本において、年収200万円という貧しい生活を過ごしていると、健康を損なう可能性が出てきます。それは、低所得者ほど肉や野菜の摂取量が少ないとされているからです。カップラーメンであったり、コンビニのパンなどで過ごしていると、体が抵抗力を失って健康を損なう恐れが出てきます。将来的には、食生活によって癌になりやすくなったり、高齢者になって病気になる可能性が増すことが明らかになっています。

健康に気を遣えるというのは、それだけで余裕がある証拠なのかもしれません。自分の食べるものが気にならなくなったりするという事は、それだけ余裕がなくなっている証拠です。

増え続ける社会保障費

現在の国が支払う社会保障費は、年間1兆円ペースで増え続けていますが、これから更に増える事が予想されています。フリーターなどが高齢者になると、国民年金が満額で僅か6万円しか貰えないという事が発生します。それでは生活できませんので、フリーターが高齢者になった時には、生活保護で補う事になってしまって、国からの支出が更に増える事になってしまうのです。つまり、日本の社会保障というのは、今よりも更に増加して、国が支える事がほぼ不可能になる可能性が高まっています。

社会保険などのセーフティネットからもこぼれ落ちると、最後に頼れるセーフティネットは生活保護しかない。生活保護受給者は7月時点で216万人と過去最多を更新していますが、これから更に増える見込みなのです。国から生活保護の受給者だらけになると、国の財政は更に悪化して、どうしようもない状況になってしまいます。そうなる前に、若いうちから最低賃金を上昇させるなどして、貯蓄をさせておいたり、子供を作らせたりするなどの対策を行っておく必要があるのです。

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